第九の話
横浜シティ・フィルハーモニックは、1990年に創立10周年を迎え、その年の第10回定期演奏会では、創立10周年記念としてベートーヴェンの「第九」を演奏することになった。
ある人の仲介で合唱を集めてもらい、「第九なら合唱合わせは2回位でOKですね」ということで本番1週間前の合唱合わせの日になった。当日、練習開始時間になっても合唱は(団員が呼んだ)2、3名しかいない。1時間まっても全然増えない。合唱団はどこへいったか。仲介者に連絡もとれず、結局団員のなかで第九の合唱経験者が合唱に加わり、とにかく数名の合唱でゲネプロ終了。その後仲介者と連絡がとれたが、なんと合唱団は存在しないことがわかった。
チケットも配布済みでもう演奏会の中止はできない。それからの1週間で団員全員で合唱を集めることになった。団員皆がそれぞれの知り合いに電話をかけまくって1週間で100人を越える合唱団ができあがった。
プロも何人か含めた臨時仕立ての合唱団、ステリハしか練習はできなかったが、本番は大成功だった。